空想過酷小説

彼女には事物より観念の方がありがたかった
観念のためとあらば事物を曲げることすら厭わず

マンデラ・エフェクトですか
あれは本当に事物が歪んだのだ

それはまぁいい
どちらに話を広げようか

骨身に沁みてわかったことではないのだ
僕が骨身に沁みているころ素通りしたではないか

寂しかった
僕が絶望の淵にいるとき、人は笑えるということ

そりゃそうでしょうな
僕がどこにいるか知りませんからな

世界の片隅の最暗部
それを知っての糾弾かというとそうではない

そうではないのなら幸せでいるほうがいい
ではないか、ではないか

屈辱の内に現実を発見なんてことになる前に

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