酒から逃れて

心の中では著名人である
私を知らない人はもぐりである

この認識が他者との軋轢を生んだ
誰に向かって口をきいているのかと
すると大概、えと、どなたでしたっけ
の返答に怒りを募らせ

こうしてシミュレーションだけで私は
ロックスターの持つ傲慢と人間不信を
身に着けていたのだった

それが事実だとして、膜を破けない人類

まぁいい
翻って断酒への道は
他者に行動の有無をゆだねていたら
到底至れない道なのだ

思ったよりあてにならない
どころか傷つけないように気をつけながら
誰のためでもなく
ただ自分のために生きられるほうに舵を切る

ひいてはそれが人のためともなろう
しなだれかかる情もなく

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