「……僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のため
ならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」
「うん。僕だってそうだ。*1」
君の体が百ぺん灼かれたら
君の父母がどれだけ悲しむことか
また君の信奉者がどれだけ悲しむことか
それのどこがほんとうの幸なのか
僕もまた同じ決意を持ってことに当たり
一、二度、灼かれてみて思うことは
一度たりとも灼かれてはならない
ということですね
だって灼かれるって、ん~ごいことなんだよ
ん~ごいことでしょうな
もう誰もそんな目に遭わないでいいように
人に幸多かれ
*1 『新編 銀河鉄道の夜』 宮沢賢治著
新潮文庫 平成元年六月十五日発行 216頁